当時付き合っていた彼女が、屋久島をトレッキング中に二人の幽霊さんを憑けて帰って来た。
どうも心中したカップルみたいだった。
女性が私に憑き、男性が彼女に憑いた。
見えた映像はこんな感じ・・・
女性は、彼が思い詰めて心中しようとしているのを知らなかった。
「俺たちが結ばれるには、もうあの世しかないんだ。」
「え?マジで?」と、びっくりしているうちに殺され、彼も死んだ。
殺された女性はそのまま成仏出来たのだが、彼が心配で成仏しなかった。
ほどほど後悔も学びもあって、その地を離れる事が出来るようになった。
そこに私の彼女が通りかかったのだった。
これも何かの縁だろうか。
男性の幽霊、彼の課題は「依存」、それは私の彼女の課題でもあった。
女性の幽霊、彼女の課題は「誤った優しさ」、それは私の課題だった。
それぞれ同じ課題を持った、私たちに憑いた。
取り憑くと言うのは、どこか共通点があるからだ。
その重たさをかかえながら、生活した。
一緒にいると互いに依存し合うから、辛かったが彼女と分かれた。
ある日駅前で、托鉢のお坊さんが経を唱えていた。
「すみませんが、後ろに憑いている子に経を読んでいただけませんか?」
と、お布施を渡した。
般若心経を唱えてくれた。
「女性ですね。」と、お坊さんが言った。
どうすべきか教えてくれたが、これも自分の修行だと自力で精進した。
彼女のおかげで、本物の修行僧と出会えた。
ただ優しいだけと言うのは、その人のためにならない。
本当の優しさは、厳しさも備えているものだと知った。
私が学ぶと彼女も学ぶ。
そのうち成仏する日が来た。
その日は、掃除をしたくてたまらなくなって、掃除をせっせとしていた。
「まてよ、俺ってこんなにきれい好きじゃないよな。」
と、気付いた。
憑依されていると、自分の感情なのか霊のものなのか区別が付かなくなる。
振り向いて、後ろの彼女に言った。
「さてはおまえか。気持ちは嬉しいが、体を使うのは俺だぞ。」
と言ったら、
「それもそうよね。」
と、彼女。
思わず二人で笑い合った。
その時、ふっと成仏していった。
笑顔と一緒に成仏・・・きれいな成仏だった。
優しすぎる程の素敵な女性だった。
いつか彼女も肉体を持って、お互い出会えたらいいな。
なんか、惚れちゃいそうだ(笑)。
私が死んだ時に迎えに来てくれるかも知れない。
まだ生まれ変わっていなかったらだけど。
もう生まれているとか?
この話を友人にしたら、「きくりんは幽霊と同棲していたんだよ。」なんてネタにされていた。
ああ、死ぬ時が楽しみだ。
そのために一所懸命生きないとね。


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